ITIL4の中核となるのは、サービスバリューチェーンとサービスバリューストリームです。

ITILサービスバリューチェーン(SVC)
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これまでのITILでは「プロセスアプローチ」で、それぞれのプロセスを改善することで、サービスの品質を高めていくという考え方でしたが、プロセスアプローチによる改善は、各プロセスを別々に改善することになるので、時として改善活動の結果がサービスの価値向上に貢献しない、また部分最適化(サイロ化)してしまうという欠点がありました。
 ITIL4では全体最適の視点を取り入れ、またサイロ化から脱却するため、サービスバリューチェーンとサービスバリューストリームという考え方に基づき、改善活動を行うことを提唱しております。

 サービスバリューチェーンの源泉となっている「バリューチェーン(価値連鎖)」は経営学者であるマイケル・ポーターが経営戦略の古典である「競争の戦略」という書籍の中で発表した経営学の著明な理論です。

バリューチェーン活動
(マイケルポータ「競争の戦略」より引用)

バリューチェーンは、価値の流れに着目し、付加価値を生み出している活動や強みや弱みの部分を整理し、戦略の有効性や改善の方向を探ります。また、業務における「ボトルネック」を発見し、そのボトルネックを集中して改善することで価値を最大化するという活用方法もあり、トヨタのカンバン方式やTOC(制約条件の理論)などはこの理論から派生したものです。

 ITIL4のサービスバリューチェーンは、このバリュー・チェーンをサービスマネジメントに応用し、機会および需要を製品・サービスを通じて価値(バリュー)に変換していくためのモデルを定義しています。

具体的な活用方法(例)は、
1.「サービスマネジメントの4つの側面」および「従うべき原則」に基づいて自社の業務を「価値を生み出している中核業務はなにか?」という視点で整理する。
2.価値を生み出している中核業務の一連の流れを整理する(サービス・バリューストリーム)
3.サービス・バリューストリームを「サービス・バリューチェーン」の活動にあてはめる。
4.価値を生んでいる業務、生んでいない業務、サービス・バリューストリームにおけるボトルネックを分析する。(価値を生んでない業務はアウトソーシングすることも検討する)
5.価値を生んでいる業務やボトルネックを、「ITIL管理プラクティス」を参照して改善する。
という流れで、改善することでサイロ化を解消し組織全体でサービスの価値を最大化することを目指します。
(この業務の流れは、ITだけでなく一般の業務も含んだ組織全体の業務であるというのが大切なポイントになります。)

ITIL4ファンデーション書籍では、上記のような改善活動をおこなうのに必要な知識やノウハウの概要が紹介されています。
また、上位書籍では、上記活動を分野ごとに詳細化して説明しております。

上位書籍とサービスバリューチェーンの関係図
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※弊社ITIL4ファンデーション研修では、ITIL4ファンデーション書籍やシラバス(試験要綱)を超えて、このサービスバリューチェーンおよびサービスバリューストリームの考え方や具体的活用方法についての詳細も説明しております。
詳細をお知りになりたい方は、ぜひ研修にご参加ください。

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