ITIL(バージョン5)は、インダストリー5.0が求める「人間中心・持続可能性・レジリエンス」を実現するためのデジタルプロダクト&サービスマネジメント(DPSM)のベストプラクティスです。

インダストリー5.0(第5次産業革命)は2021年に欧州委員会(EU)が提唱定義した今後の産業の変革構造モデルです。

インダストリー4.0(第4次産業革命:DX化)では、「効率や自動化のためのデジタル化」を示していましたが、インダストリー5.0では「技術によって人間をどう支援できるか?」を示し「人・社会・環境のためのデジタル化」への転換を提唱しています。
その基本的な構造は以下の3つの柱です。
1.人間中心(Human-Centric)
2.持続可能性(Sustainability)
3.レジリエンス(Resilience)※変化や障害から回復し適応する能力

また、これに近いコンセプトとして、2016年1月に日本政府(内閣府)が提唱した「ソサエティ5.0」があります。こちらは産業だけでなく、社会全体を視野に入れ「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」を目指すことを提唱しているものです。

ITIL(バージョン5)は、インダストリー5.0が実現される産業構造を前提に策定されたマネジメントフレームワークであり、以下の構造的な変革に対応しています。
・テクノロジーシステムの管理からテクノロジープロダクトおよびサービスマネジメントへ
・成果物とパフォーマンス重視から価値、成果、および体験重視へ
・専門化から協働へ
・効率性の最適化から適応性と耐障害弾力性の実現へ
・秩序と標準化から複雑性を受け入れ、多様性を促すことへ
・利益を最優先することから利益・人・地球のバランスを取ることへ

インダストリー4.0の時代には、デジタル化や自動化による効率向上が重視されました。しかしインダストリー5.0では、テクノロジーそのものではなく、人間・社会・環境との調和の中でどのように価値を創出するかが重視されています。

そのため、ITサービスだけを管理対象とする従来型のITサービスマネジメントではなく、ビジネス・プロダクト・サービス・人材・パートナーを含めた統合的なマネジメントが必要となりました。その考え方を体系化したものがITIL(バージョン5)です。