ITILは1980年代後半の誕生以来、ビジネスとITの関係性の変化に合わせて進化を続けてきました。しかし、新しいバージョンが登場したからといって、それまでのバージョンが無価値になったわけではありません。

ITIL(バージョン3) は、組織内の業務を標準化し、安定したサービス提供を実現するためのベストプラクティスとして、現在でも多くの組織で有効に機能しています。

ITIL4はデジタル化や価値共創という考え方を取り入れ、DX時代に求められる柔軟なサービスマネジメントの基盤として広く活用されています。

ITIL(バージョン5)は、これらを否定するものではありません。むしろ、ITIL (バージョン3)やITIL4で培われた考え方を土台としながら、AIやデータ活用が前提となる時代において、組織が継続的に適応・進化するための考え方を追加したものと捉えることができます。

重要なのは、「どのバージョンが優れているか」ではなく、「自社の状況や目的に対して、どの考え方が最も有効か」という視点です。

組織によっては、まずITIL(バージョン3)の考え方で標準化や統制を確立することが優先される場合もあります。また、多くの企業にとっては、ITIL4によるデジタル化や価値共創の取り組みが現在も重要なテーマです。そして、変化の激しい市場環境の中で継続的な適応や進化が求められる組織では、ITIL(バージョン5)の考え方が大きな価値を発揮します。

以下は弊社が考える業務シーンごとのITIL(バージョン3)・ITIL4・ITIL(バージョン5)の適用領域比較表です。

業務シーンITIL (バージョン3)(標準化・統制)ITIL 4(デジタル化・価値共創)ITIL (バージョン5)(適応・継続的進化)
経費精算ルールや申請書を標準化するワークフローシステムで電子化する利用状況に応じて確認手順や承認ルートが最適化される
社員教育共通教材による集合研修を行うe-learningで学習状況を可視化する理解度や業務内容に応じて学習内容が変化する
営業会議報告フォーマットを統一するダッシュボードでリアルタイム共有する状況変化に応じて重点課題や論点が提示される
顧客対応FAQを整備するセルフサービスポータルを提供する顧客ごとに必要な情報が先回りして提供される
商品・サービス開発定期的な市場調査を行う顧客データを分析して改善する市場変化に合わせて継続的に進化する仕組みを持つ
人事採用面接評価基準を統一する採用管理システムで情報共有する応募状況や採用実績に応じて選考プロセスが改善される
問い合わせ対応担当者教育と手順整備を行うオンライン受付やセルフサービスを導入する利用傾向に応じて対応方法やチャネルが変化する
組織運営業務プロセスを標準化する部門横断でデータを共有する環境変化に応じて組織の役割やプロセスが柔軟に変化する

ITILバージョン5は「ITIL4の次のバージョン」ではなく、「AIネイティブ時代における組織能力向上のための発展形」と考えるのが適切でしょう。

弊社では、ITIL(バージョン5)の研修と並行してITIL4の研修の提供を続けていきます。
また、ITIL(バージョン3)については、出版物も認定試験も廃止となっておりますが、同バージョンのコンセプトに近い、ISO/IEC20000に準拠したEXIN ITサービスマネジメントファンデーション認定試験に対応した研修を引き続き開講しております。(詳細はこちらをご覧ください)